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危険な隣人は微笑みを浮かべながら近づいてくる。(2)
〜Googleの隠された顔


Googleの隠された顔

 人は怖い顔をして正面から近づいてくる相手には身構えるが、「微笑みを浮かべながら近づいてくる隣人」には無警戒どころか歓迎すらする。その隣人がよく知られている有名大手企業の場合、微笑みの裏に別の顔があると想像する者がどれだけいるだろうか。例えばFaceBookやMicrosoft、Google、Appleなどに対し警戒心を抱く人が。
 だが、これらの企業はNSA(米国家安全保障局)の求めに応じて個人情報を提供していたし、Googleは中国政府との間でキーワード検索で「取り引き」をしたと噂されている。実際、中国ではGoogle検索で結果が表示されないキーワードがいくつもある。中国政府にとって都合が悪いことは検索できないし、検索している個人を政府が特定する可能性すらある。
 要は国家による情報管理が行われているわけで、その最も分かりやすい形が中国だというだけだ。では、ほかの国では関係ないと、我々はノンビリ構えていていいのだろうか。
 Google Earthは便利な機能で、地球の裏側の家まで特定できるが、問題なのはそれらがなんの事前通知も断りもなく撮影され、やはりなんの断りもなくネット上に公開されていることだ(私の車も映されていた。さすがにナンバーは隠されていたが)。

 Googleは様々なサービスを提供しているが、今春、突然、「プライバシーポリシー(個人情報保護方針)」を変更したのはご存知だろうか。従来、各サービスごとに管理していた個人情報データを一括管理するようにしたのだ。
 より具体的に言えば、Gmail、You Tube、Google検索、Picasa、Google Driveなど同社が提供する60以上のサービスで収集する個人情報をサービスごとではなく、ユーザーごとに管理し、活用することにしたのだ。その結果、Gmailで公開したプロフィール写真はほかのサービスでも使われるし、Picasaの写真はGoogle Mapその他で利用されたりするということである。
「Google は、当該他のユーザーに対し、お客様が公開している Google プロフィール情報(お客様の名前や写真など)を表示することもあります」
「Google のあるサービスから取得した個人情報を、Google の他のサービスから取得した情報(個人情報など)と結び付けて、たとえば知人との情報の共有を容易にすることがあります」

 最近、多くのマスメディアが「ビッグデータ」の活用ということをしきりに宣伝し、TBSなどは今回の参議院選挙でも「ビッグデータ」から「検索ワード」を分類・分析し、どの言葉による検索が多かったのか、その「検索ワード」と投票行動の関連性は、などと報道していたが、Googleの改定プライバシーポリシーはこういうことをやりやすくするためのものである。
 同社の「プライバシーポリシー」やサービスの「利用規定」はネット上にオープンにされているため、誰でも読むことができる。だが、サービスを利用する前に長文の内容を我慢してすべて読む人は少ないだろう。
 しかし、ほかのサービス(例えば通販など)でも同じだが、多くの場合、重要なことは「小さい文字」で「難しい言葉」を使いながら、「長い文章」で書いてある。いかにも、全文に目を通すのを諦めさせようとしているかのように。
 しかも、一読しただけでは、それらは「ユーザーのため」の利益のように思える。「微笑みを浮かべた善き隣人」が手を差し伸べているのだ。笑顔の下に別の顔を隠しながら。

 さらにGoogleの「利用規定」には次のように書かれている。
「本サービスにユーザーがコンテンツをアップロードまたはその他の方法により提供すると、ユーザーは Google(および Google と協働する第三者)に対して、そのコンテンツについて、使用、ホスト、保存、複製、変更、派生物の作成(たとえば、Google が行う翻訳、変換、または、ユーザーのコンテンツが本サービスにおいてよりよく機能するような変更により生じる派生物などの作成)、(公衆)送信、出版、公演、上映、(公開)表示、および配布を行うための全世界的なライセンスを付与することになります」

 平易に言い換えると、ユーザーがGoogleのどれかのサービスにアップしたコンテンツ(例えばPicasaにアップした写真、Google Driveにアップしたデータ)はGoogleが全世界で使用することができるということ。
 ただし「このライセンスでユーザーが(Googleに)付与する権利は、本サービスの運営、プロモーション、改善、および、新しいサービスの開発に目的が限定」されるとは言っているが、恐ろしいのは次の一文だ。
「このライセンスは、ユーザーが本サービス(たとえば、ユーザーが Google マップに追加したビジネス リスティング)の利用を停止した場合でも、有効に存続するものとします」
 つまり一度Googleのサービスにアップしたコンテンツは、Googleの利用をやめても、全世界でGoogleによって利用される、ということである。
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